保育園にはさまざまな種類がありますが、大きく二つに分類することができます。一つが「認可保育園」、もう一つが「認可外保育園」です。
認可保育園の場合は、所属している市町村から助成金を受け取ることができるので、経営の安定性を見込むことができます。一方、認可外保育園では助成金は出ないものの、保育に対する自由度が高いのが特徴です。そのため、保育事業に対するこだわりや他の保育園との差別化を図りたいという場合には、選択肢の一つとして考えやすいといえます。
それでは、保育園の種類と経営面から見た特徴について紹介していきましょう。
国が定めている基準をクリアしている児童福祉施設のことを認可保育園と呼びます。対象となるのは0歳から小学校に入学するまでの子どもです。
認可保育園を経営する最大のメリットは、先述したように国や自治体からの補助金によって運営ができるということ。そのため、保育園運営が安定しやすいのが特徴です。しかし、認可を受けるための基準が厳しいので、希望をしても認可が下りない可能性があります。また、運営方法も細かく決められているので、保育に対する自由度はあまり高くないと考えたほうがいいでしょう。
平成27年4月よりスタートした「子ども・子育て支援新制度」によって、市町村の認可事業となった施設に小規模認可保育園があります。
一般的な認可保育園の開園に2~3年が必要であることに対し、小規模認可保育園は開園までの時間が短く、4~5カ月で開園することができます。加えて、定員が19名以下とその名の通り小規模で運営することから、個人でも開業しやすい保育園といえるでしょう。また、自治体からの補助金制度もあり、年間で3500万円前後の補助金を受け取ることも可能です。
認可保育園よりは保育の自由度は高いですが、その分専門的な知識を持った保育士を雇用することが必要であること、保育士にかかる責任が大きくなりやすいということは、理解しておかねばなりません。
夜間や深夜に保育を行う施設を夜間保育園といいます。開所時間が11時~22時と定められており、仕事の都合で子どもを保育できない保護者によって利用されています。
夜間保育園には認可型と認可外型の両方があり、夜間認可保育園は全国でも80カ所程度しか運営されていません。これは保育士の確保が困難であることや、公的な支援が少ないことが原因です。そのため、夜間保育のニーズに応えているのは、ほとんどが認可外の保育施設となっています。
女性の社会進出や離婚率の上昇などによってニーズは高まりを見せているので、夜間保育園を運営するのであれば、保護者の気持ちに寄り添ったサービスを提供していくことが大切になってくるでしょう。ただし昼間の保育とは性質が異なるケースが多く、安全で良質な保育が難しいという一面や、夜間に働く保育士を集めることが難しいため、開業しづらいというデメリットがあります。
国が定める基準を満たせていない、または満たせていても自治体の都合で認可が下りなかった保育園を認可外保育園といいます。
多くの場合、自治体からの補助金を受けられないため、保育料による運営となります。しかし、保育料に対する規定がないため、保育内容などのサービスによって、自由に料金を設定することができるのが一つの特徴といえます。逆に言えば、料金が高くなりやすく、園児が集まりにくいというデメリットにもなるため、認可保育園にはない保育サービスを提供するなど、他の保育園との差別化を図る必要があるでしょう。
上記以外の保育施設として、自治体が独自に定めた制度によるものがあります。
認定保育所では、開園の基準が低く、補助金の受取や保育料を自由に設定できるなどメリットが多いので特徴です。
認可保育園よりは助成金が少ないので、保育士の給与が低くなりやすく、人材確保が難しいといわれています。また、都内の駅に近い場所に開業することが条件のため、保育所運営のランニングコストがかかりやすいのもデメリットといえるでしょう。
認定保育園も、開園しやすく助成金を受けられるというメリットがありますが、園児を集めるためには認可外保育園のようなサービスの差別化や宣伝などに工夫が必要になるでしょう。
横浜保育室の場合も、開園のしやすさと助成金の受取がメリットとなりますが、横浜市では待機児童問題が解消されつつあり、ニーズが少ない可能性があります。経営していけるのか正しい判断が必要になるでしょう。
保育園にはさまざまな種類があり、経営の視点から見た特徴があります。保育園を開業したいと考えているのであれば、ニーズと特長の両方をしっかり見極めることが大切になってくるでしょう。