モンテッソーリ教育では、子どもを取り巻く環境すべてを、子どもが自ら成長することを促すものとして重要視しています。幼少期の子どもは特に環境から情報を受け取り、体験から学びます。広い場所、狭い場所、明るい場所、暗い場所、屋外空間、子ども達がどこで活動を行うか自由に選ぶことができるように多様な場所を用意し、より一層豊かな活動環境になるようなつくりとすることが欠かせません。新園舎ではあらゆる空間がそのようなコンセプトに基づいて作られています。また、計画段階から幼稚園の先生方と原寸大の教具棚の模型を作って実際の教育のあり方をシミュレーションし、仕様寸法・配置検討を綿密に行うことで、細部に渡って配慮された利用的なモンテッソーリ活動の環境づくりを行いました。
毎朝登園すると子ども達はまず園内や教具を見渡し、「今日は何のお仕事をしよう」考えます。年齢の低いこどもたちには頭の中で想像し自身の活動を決めるよりも、どこに何のお仕事があるかを視覚的に見渡せる方がより一層活動を決めやすい傾向があります。そのことも考慮して広く見通しのよい空間としつつも、コーナー状に教具棚を配置して、活動時には落ち着いて集中できる場所としの条件もしっかり確保していることが大きな特長です。
オープンスペースは、モンテッソーリ教育の基本メソッドに従って、他のクラスとの共用スペースとして機能するよう工夫をこらしました。さらに保育室間にある小さい中庭からも、他のクラスのこどもの様子を感じることができるよう工夫し、各クラスが自然なかたちで常に刺激しあえる空間を創り上げています。