コロコロ転がるボールは、小さな子どもの興味を誘うアイテムです。最初は目で追い、手で触れる程度ですが、やがて歩いたり走ったりしながら追いかけるようになります。
ボールがひとつあるだけで「ける」「投げる」「弾ませる」など、全身を大きく使って遊べます。また、ボールにはさまざまな種類があり、扱い方も多種多様。慣れていくうちに難易度を上げて遊べるのもボール遊びの魅力です。
乳児の頃は、自分の投げたボールが飛んでいくことを「不思議」に感じているようです。ほかのおもちゃでは得られない意外性、ボールを追うという体感型の遊びはとても有効です。
まだ視野の狭い子どもは、ボールを見失ってしまうと「ボールがない。どうしよう!」という感覚で驚きを感じます。見つけて手にする喜びも子どもならでは。うれしくなって、次のボール遊びへとつながるようです。
3歳くらいになると、友だちと一緒にボール遊びができるようになります。ボールの投げっこといった遊びの中での関わり合い、譲り合いを学ぶ機会になります。
幼児期のボール遊びは、視神経やバランス感覚の発達を促すと言われています。目で見たものを追いかけるという、視覚と動作のマッチング。ボールに近づくために足腰を使い、転ばないための体重移動も必要です。
また、キャッチボールは空間認知能力や反射神経を鍛えると言われています。こうした運動経験によって、子どもは距離感覚や方向感覚を身に付けていきます。
子どもの脳は、身の回りのいろいろなことに刺激を受けています。単なるボール転がしのように見えても、繰り返しにより自分の手のひらや指先にその感触がしっかり残ります。体のすみずみまで意識を広げ、パーツを自由に動かせるという気づきができます。単純な遊びひとつにも、成長の機会がたくさんあります。
大人にとっては当たり前のことも、子どもにとってみれば興味津々。ボール遊びの種類によって、跳ね方や転がり方が変わるボールには、ワクワクがいっぱい詰まっており「遊び心」を養います。
ボールをまっすぐ転がすのは、最初は難しいものです。ボールの大きさや重さによっても成功率は変わってきます。
どんな転がし方をしたら、どう転がるか?繰り返しボール転がしをすると「予測」しながら遊べるようになります。
何度もトライすれば、だんだん上手にできるようになり、手の使い方、力の入れ方、さまざまなコツがあることを覚え「コントロールする力」が身につきます。
ボールを相手に動きをコントロールする力が身につくと「運動神経」や「反射神経」も養われます。器用な動きができるようになればなるほど、普段の生活で起こりうるけがや事故から身を守ることにもつながります。
投げる、転がす、弾ませるのほか、キャッチする、打つ、ける、よける、追いかけるなど、全身を使った運動により、総合的な「筋肉の発達」が期待できます。また、ボールを使うと長い時間の遊びができるので「体力・持久力」がつくでしょう。
ボールのドリブルなどが何回できるか、箱にいくつのボールを入れられたか、ゲームで何点取れたかなど、ボール遊びを通じて「数を意識」できるようになり、「数字感覚」に慣れることができます。
ドッジボールやサッカーなどのゲーム遊びは、ルールを理解して作戦を練ったり、相手の気持ちを察したり、役割分担を考えるなど「チームとして協力する心」が育ちます。
相手と向かい合って遊ぶ定番のボール転がしでも、受け止めたり受け止めてもらったりすることで「信頼関係」を築いていくことができます。
ボール遊びのバリエーションを楽しみたくても、サッカーのように走り回る遊びには、ある程度の広さが必要です。あまりスペースがない場所でもおすすめのボール遊びを紹介します。