情操教育は小さいうちから行うことが重要です。中でも情緒的情操教育は、とても大きな意味を持っています。生命の尊さを知り、命を大切にする心を育てるといわれるのが、情緒的情操教育です。
保育園での花の栽培もそのひとつです。園庭で季節の花を栽培し、植物に触れる機会を設けましょう。子どもは自分たちと同じように、花も少しずつ成長することを学ぶでしょう。
水をやらなければ枯れてしまう花には、人間と同じように命が宿っています。栽培を通して、花にもきれいに咲く時期、枯れて終わりになる時期があることを理解するでしょう。水やりなどに関わり、積極性や責任感を身に付けていきます。
自然と触れ合いながら感じる気温の変化、風の音、花や緑の香り、水の冷たさなどが五感を刺激します。
愛情をかけて命あるものに触れ、感性豊かに育つこと、花のある環境や遊びの中で心豊かな子どもに育つことを願います。
都市部に住む子どもほど、自然と触れ合う機会は少ない傾向ですが、お家で楽しむガーデニングや花のある空間づくりなど、自然をうまく取り入れている家庭もあります。しかし仕事を持つ多忙な親御さんの場合は、草花と親しむ余裕もないのが現実ではないでしょうか。
保育園での種まきや、苗を植えて育てる時間は、子どもが普段できない経験となるはずです。子どもたちの目がイキイキと輝く瞬間や、花の成長を興味津々に見守る姿はとてもかわいらしいもの。探究心や知的好奇心も引き出すことができます。
日当たりの良い環境、ビルに隣接にする日陰の多い環境など、栽培場所に適した植栽計画を立てることも大切です。芽吹きの春から秋まで、花を楽しむ工夫を園庭に取り入れましょう。
廃材を使って花壇を増やしたり、プチリフォームをするのもおすすめです。丸太を縦にして地面に固定。低い柵のように並べるとナチュラルな雰囲気の花壇ができます。
古いタイヤを重ねて作ったコンテナに土を入れ、花壇に見立てるのもおもしろい試みです。
地域によっては日差しや紫外線をカットするグリーンカーテンとして、アサガオ栽培をする保育園もあります。自然を存分に感じられる涼しげな緑のカーテン。子どもにも好評の夏の過ごし方となっています。
栽培する植物は丈夫で育てやすいものを選びましょう。明るい色の花が咲くものであれば、見た目にも美しく、子どもたちがワクワクする花壇になります。
木製の目隠しフェンスなどに取り付けるタイプの、ハンギングバスケット作りもおすすめです。2リットルの角形ペットボトルを使って花用のバスケットを制作し、苗の植え付けをする過程を紹介します。
こうして一人一人にマイバスケットを与え、花を育てます。毎日の水やりや世話をしながら、子どもたちに「花が咲くまで大切に育てよう」というやさしい心が備わります。
夏休みは家に持ち帰って引き続き世話をするなど、親子で花育を楽しめます。
育てた花には子どもたちのたくさんの思いが詰まっています。ペットボトルで作ったハンギングバスケットに咲く花が、園庭を飾ることでしょう。
「自然は人間の苗床」と言われます。さまざまな情緒や豊かな感受性を育てる自然体験の場を保育園に設けましょう。広い園庭がない場合でも、プランター栽培なら手軽に始められます。プランターをベランダに置けば、すくすくと成長する姿を間近に見ることができます。
プランターに適した野菜を選びましょう。春に種をまくミニトマト、キュウリ、ナス、枝豆。秋に種をまくダイコン、ほうれん草、水菜などです。
牛乳パックを切って、縦に根が伸びる野菜を育てる方法もあります。ミニニンジンやカブなどは、3歳児くらいの子どもでも楽しめる食育活動となるでしょう。
野菜を育てる楽しさや大変さを体感すると、自然の恵に感謝する気持ちが芽生えます。ようやく収穫できた時の喜びや達成感が味わえます。自分で育てた成功体験は子どもの自信につながるでしょう。