保育現場で行われるシール遊びとは?
家庭では、シール遊びは単純に遊びとして、決められた場所にシールを貼って楽しむために行うのではないでしょうか。もちろん、保護者が何らかの目的や狙いを持って取り入れている場合もありますが、基本的には「遊び」が最大の目的でしょう。
これに対し、保育現場で行われるシール遊びは、遊びの部分もありますが、明確な目的、狙いを持って行います。具体的には、「脳の活性化」「集中力・記憶力の向上」「観察力の向上」「創造力の向上」などです。
保育現場でのシール遊びで、これだけ明確な目的や狙いを持って行えるのには、家庭で行うシール遊びと異なる点があるからです。異なる点とは、遊びで使うシールの種類です。
各家庭によっても異なりますが、家庭でのシール遊びというと、キャラクターや絵柄のついたシールを使うのではないでしょうか。
これに対し、保育現場で使うシールは、単色の丸や四角などのシールです。これを、白黒の絵が描いてある台紙に貼っていきます。シールを使った塗り絵をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
保育の現場でシール遊びを行うメリット
では、明確な目的や狙いを持って行うシール遊びのメリットについて説明します。シール遊びにはいくつかのメリットがあり、その中でも代表的なものは次のとおりです。
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手先が器用になる
シール遊びは、シールをはがす、台紙に貼る、はがしたシールの剥離紙を捨てる。この一連の動作を繰り返します。
大人であれば何でもない動作ですが、小さな子どもにとっては、最初はシールをはがすだけで一苦労します。これを慣れてくるまで続けていると、自然と簡単にできるようになり、最終的には細かい作業ができるほどに、手先が器用になっているのです。
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形や色を理解する能力が向上する
丸や四角のカラフルなシールで遊んでいると、次第にどこにどんな形のどんな色のシールを貼ればよいかがわかってくるようになります。これにより得られるのが、形や色を理解する能力です。
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観察力が向上する
前段で触れたように、保育現場で行うシール遊びは、塗り絵のようなイメージです。
例えばブドウの絵に貼るのは、どんな色のどんな形なのかを知る必要があります。そのため、自ずとさまざまなものを観察し、形や色を覚えていくようになり、観察力が向上するでしょう。
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論理的思考ができるようになる
前述したように保育現場でのシール遊びは、シールをはがし、台紙に貼り、剥離紙を捨てるという一連の動作が必要です。また、子どもによっては台紙に貼る際は、どの色、どの形から貼っていけばきれいに貼れるかという順番も気にするようになります。
その結果、論理的思考が身につき、普段の生活でも効率的な作業が行えるでしょう。
シール遊びをする際に気をつけるポイント
では、実際にシール遊びを進めていくうえで気をつけたいポイントについて説明します。
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慣れるまでは、シールをはがして渡してあげる
0~1歳の前半ぐらいまでは、自分でシールを剥離紙からはがすのも簡単ではありません。そこで、慣れるまでは、子どもが選んだシールを先生が剥離紙からはがして渡してあげましょう。これにより、子どもがシールを口に入れてしまう危険も避けられます。
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最初は丸シールを中心に使う
幼児のシール遊びは、慣れるまでは丸形のシールのみを使うのがおすすめです。丸形であれば上下左右関係ないため、幼児でも比較的簡単にシール遊びが楽しめます。また、丸形のシールは事務用品売り場や100円ショップでも手に入るため、コスト的にもおすすめです。
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慣れたら台紙の絵も一緒に書いてみる
シールを貼る台紙は購入することもできますが、慣れてきたら先生と一緒に白紙にさまざまな形や絵を描き、それにシールを貼るようにしてみましょう。自分の書いた形や絵にシールを貼ることで楽しさが増すうえ、お絵描き遊びも同時に楽しめます。
シール遊びはいろいろと話しながら進めていくのがおすすめ
シール遊びは、単純にシールを貼っていくだけでも楽しいものですが、先生と会話をしながら進めていくとより楽しいものになるうえ、さまざまなことを得られます。
例えば、「台紙に貼ったシールの色は何色?」と聞いてみたり、「一緒に丸を描き、何個丸が描けたかな」とクイズにしてみたりするのがおすすめです。
楽しみながら、子どものさまざまな力を向上させることができるシール遊び、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。