多くの子どもは、お絵描き遊びを始めるようになります。もちろん最初の段階では絵を描くというよりは、紙を色で塗りつぶしたり、線や丸などの形を書いたりするだけかもしれません。
しかし、だからこそ、その段階からお絵描きの楽しさを覚え、そこからさまざまなことを学べるよう指導していく必要があります。今回はクレヨン遊びを行うメリットやその効果、初めてのクレヨン遊びで気をつけるべきポイントについてお伝えします。
リズム遊びとは?
幼児のお絵描きといえばクレヨンを使うことが多いでしょう。鉛筆のように削る必要もなく、幼児でも容易にお絵描きが楽しめます。
では、保育の現場でクレヨン遊びを行う狙いとは何でしょう?絵を上手に描けるようになることだけが狙いではありません。
保育の現場でクレヨン遊びを行う目的は、子どもたちの想像力や観察力、表現力を引き出してあげることです。また、さまざまな色の名前を覚えさせるのもクレヨン遊びの狙いの一つと言えるでしょう。
ポイントは子どもの年齢により、それぞれに適応した狙いを明確にしたうえで、クレヨン遊びを教えることです。
絵を描くことの楽しさを教えるのはどの年齢でも共通しています。それ以外では、年齢により次のような点を教えていくのがよいでしょう。
-
1歳
クレヨンでいろいろな色を塗ること。
-
2歳
クレヨンの正しい持ち方、丸や四角、縦線、横線の書き方など。
-
3歳
人の全体像、顔の書き方(口・目・鼻の書き分け)、閉じた丸、四角の書き方など。
-
4歳
特定の人の全体像(両親や友達など)の書き方、車や電車、ビル、家といった建造物の書き方など。
-
5歳
人の後ろ姿、閉じた丸、四角、三角、星形、動物、魚、人の話から想像して絵を描くなど。
保育の現場でクレヨン遊びを行うメリット
前段で紹介したように、ひと口にクレヨン遊びといっても年齢により、「線や形を描く」「人物や顔を描く」「建物を描く」「物語から想像して描く」などさまざまな遊び方があります。では、実際に保育の現場でクレヨン遊びをすることで、どういったメリットが得られるのでしょう。
-
色や色の名前を覚えられる
クレヨンでさまざまな色を使っているうちに、自然と色や色の名前を覚えられるようになります。クレヨンを選ぶ際、色の名前を口に出して渡してあげ、子どもにも復唱させるようにすると、覚えが早くなります。
-
観察力が向上する
3歳になって人の体や顔を描くようになると、少しでも上手に描こうとして周りにいる人をよく観察するようになります。
また、さらに成長して車や電車、ビルなどを描くようになると、町を歩きながらも周囲の景色に目が行くようになります。それが観察力の向上につながっていくでしょう。
-
集中力が身につく
子どもに限らず、人は好きなことをしている時には集中力を発揮します。お絵描きの楽しさを覚え、お絵描きが好きになれば自ずと集中力が身につき、一つの絵を描くことに夢中になって取り組むようになるでしょう。
-
想像力・表現力が豊かになる
絵は観察力も重要ですが、想像力も欠かせません。特に人の話から想像して絵を描くようになると話を頭の中で理解し、それを「絵」という形にして表現するようになります。その結果、想像力や表現力が向上するでしょう。また、人の話をしっかりと聞くという力や理解力も併せて向上するのが、クレヨン遊びの大きなメリットです。
-
脳の発達にも効果を発揮する
指の神経は脳神経に直結しているため、手指を細かく動かすクレヨン遊びは脳神経を活性化させ、結果として脳の発達が期待できるでしょう。また、空間把握能力も見につき、小学生になってから、図形問題に対する苦手意識も薄れる傾向があります。
クレヨン遊びをする際に気をつけるポイント
では、クレヨン遊びをする際、何に気をつければよいのでしょう。具体的には次の点が挙げられます。
-
口に入れないよう注意深く見守る
クレヨン遊びでもっとも気をつけなければならないのは、子どもがクレヨンを飲み込んでしまわないようにすることです。集中してやっているからといって目を離さず、しっかりと見守りましょう。
また、飲み込まずともなめたり、口に入れようとしたりといった危険があるため、クレヨンを選択する際は、なめても害のないみつろうを原材料としたものがおすすめです。
-
描いたものを否定しない
先述したように、クレヨン遊びの狙いは絵を上手に描けるようにすることではありません。そのため、上手に描けていなかったとしても決して否定しないようにしましょう。
失敗したらまたやり直せばよいのです。また、大人目線では間違っていると思っても、子どもが満足しているのならば、指摘する必要もありません。
クレヨン遊びを通して子どもの想像力を活性化
クレヨン遊びは得られるものが多く、保育の現場でも積極的に取り入れていくことをおすすめします。ただし、子どもはそれぞれ成長スピードが異なれば、興味をもつものもそれぞれです。
そのため、絵に興味がない子どもに対し、無理やりクレヨン遊びをすすめるのは避けましょう。それが絵を嫌いならず、クレヨン遊びを楽しめるようになるポイントです。