屋外の遊びの中でも人気の高い砂遊び。手先だけでなく頭を使って遊ぶため、砂遊びには子どものさまざまな能力を伸ばす要素がたくさんあります。
砂を掘ったり高く盛ったり、何度も作り直すことができるのが楽しいところです。ただし、砂を扱うには、力加減や指先の使い方の工夫が必要です。遊びを繰り返すうちに、子どもは適応能力を高めていきます。
砂場で形をイメージしながら、道具を使って作り上げることもあります。作りたい物に合わせて道具を変えたり、水の量を調整したり、試行錯誤することもあるでしょう。
「どうしたらもっと上手に作れるだろう?」
「今日は何を作ろうかな?」
「他にはどんなものが作れるかな?」
子どもは想像力を働かせます。
大人も驚くような斬新なアイデアが飛び出すことも少なくないはず。砂の造形物がちょっとしたアート作品になっていることもあります。
砂場で解放されると、子どもたちは安心感を手に入れます。次々に生まれる遊びとともに自己肯定感や創造力を養います。
乾いた砂、湿った砂、泥状の砂……感触の違いを素手や素足で確かめ、感覚を捉えながら感性が磨かれます。
また砂の上は不安定な足場なので、バランス感覚や筋力を必要とします。砂をバケツで運ぶ、砂を深く掘る、立ったり座ったりの動作から、自然と運動能力が高まります。
一人でも複数でも遊べる砂場には、年齢とともに遊び方が変化する面白さがあります。
体をうまく動かせない1歳頃でも、砂に触れること自体が遊びになります。砂場に初めて素足で入る驚き。砂を触ったり、つかんだりして感触を楽しみ、サラサラと落とす遊びを繰り返します。
保育者のマネをしてシャベルやカップを使うことに興味を持ちます。水を含ませると変化する砂の手触りも大好きです。
2〜3歳になると、ままごとなどの「ごっこ遊び」「見立て遊び」ができるようになります。保育者や友だちと一緒にいろいろな表現方法で、創造する楽しみを覚えます。
4〜5歳になった子どもは「みんなでお城を作ろう」という目標を掲げるなど、協力しあって達成する遊びに入っていきます。
年少になると道具の取り合いや、砂のかけ合いといったトラブルが起きることもあるでしょう。意見の食い違いからけんかになることもありますが、やがて役割分担や道具の貸し借り、順番を守る場面が増え、譲り合いの気持ちが芽生えるようになります。
年長になると砂場でのグループ遊びが多くなり、友だちとの関係性も深まって、子どもの語彙が増えていきます。経験をベースにした具体的なやりとりや自分の思いを語ることで、コミュニケーション力を獲得します。保育園の砂遊びで、子どもたちは少しずつ社会性を身につけていくのです。
子どもたちにとって保育園は、お昼の時間を過ごす家庭のような場所。園庭設計には感性や運動能力を育む環境づくりが求められます。
体を使って遊ぶ習慣が身に付く遊び場、中でも砂の感触を味わい創造力を生み出す砂場は、子どもたちのオアシスといえるでしょう。
都会の無機質な建物を背景とした環境にありながら、優しさを感じる緑の園庭を作り出し、憩いの砂場を設けたデザインは、子どもたちにとって大切な場所となります。
立地条件から外では実現しなかった砂場を、屋内に配置している保育園もあります。砂遊びを充実させ、成長のためのかけがえない時間として活用しませんか?