乳幼児や幼児が、山遊びというとかなり敷居が高いと思われるかもしれません。しかし、山遊びは安全に配慮したうえで早い段階から始めたほうが多くの効果を得られます。自然の中でさまざまなものに触れ、感じる経験は室内では決して得られないものばかりです。
今回は保育で山遊びを取り入れる狙いや効果、安全に楽しむためのポイントをお伝えします。
保育現場での山遊びとは?
保育現場で行う山遊びとは、高い山に登ることではありません。20~30分程度で山頂まで行くことができ、乳幼児でも楽しめるハイキングコースがあるような山で、傾斜を歩いたり、低い木に登ったりします。そして、ほかにも次のような遊び方があります。
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落ち葉・どんぐり拾い
季節によっては落ち葉やどんぐり拾いも楽しめます。特に紅葉の時期はカラフルな落ち葉がたくさんあるため、拾い集めて園の工作などに使ってもよいでしょう。
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虫探し
山にはたくさんの生き物が生息しています。特に夏場はカブトムシやクワガタなど子どもが好きな虫が多く、捕まえたり観察したりするのもおすすめです。
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川遊び
山のなかに流れている川で遊ぶのもよいでしょう。サワガニを探したり、足だけを入れてバシャバシャしたり、水切りをしたりとさまざまな遊びを楽しめます。
保育で山遊びを行う狙い
わざわざ山に出かけて子どもを遊ばせるのは、室内や園庭だけでは得られない多くのメリットがあるからです。ここでは、保育で山遊びを行う狙いについて説明します。
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仲間同士で助け合う気持ちが生まれる
傾斜を歩く時や転んでしまった時など、できるだけ大人が手を貸すのではなく、子ども同士で助け合うように仕向けます。最初はおどおどしてしまう子もいるかもしれません。しかし、慣れてくると年上の子が年下の子の手をひいて傾斜を上ったり、転んだ時にもすぐに手を貸したりなど自然と助け合うようになっていきます。この助け合う気持ちや協調性を育てるのが山遊びの狙いの一つです。
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ボディーバランスが鍛えられる
平たんな場所がほとんどない山の中で遊んでいると、自然とボディーバランスが鍛えられます。平地ではないところで歩いたり、遊んだりしていると最初のうちは転んでしまうことも多いでしょう。それは、ボディーバランスが整っていないからです。
しかし、山のように不整地の場所で遊ぶうちにボディーバランスが良くなり、転びにくい体になっていきます。将来的にどんなスポーツをやる場合でも、ボディーバランスが鍛えられていると上達も早くなるでしょう。
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自然の楽しさ、大切さを理解できるようになる
自然の中で思いっきり遊んでいると、さまざまなことがわかるようになります。「落ち葉の上を歩く感覚」「川の水の冷たさ」「草木の匂い」「斜面を転がり落ちる楽しさ」など、どれも町のなかにいる時には気づけないものばかりです。
これらを五感で体験することで、自然の楽しさ、大切さを学び、感性を育てることが山遊びの最も重要な狙いといえます。
山遊びを行う際の注意点
山の中は、つくられた園庭などとは違い、危険な場所も少なくありません。そこで、山遊びを行う際には、どういった点に注意すべきかについて説明します。
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多少の汚れやケガは気にしない
山遊びをすれば、多少の汚れやケガは付き物です。骨折や打撲といった大きなケガには十分に気をつける必要があります。しかし。切り傷や擦り傷程度であれば、ことさらに気にする必要はありません。
むしろ、その程度のケガを怖がり、大人が先周りしてしまうことで子どもの自由を奪い、山遊びの意味がなくなってしまいます。子どもはケガをすることで、危険なことと安全なことの境目を知ります。そのためにも大人は極力、手や口を出さないように気をつけましょう。
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できるだけ山の中にあるもので遊ばせるようにする
「山遊びをする際は、できるだけおもちゃや遊具は持たず、自然の中にあるものだけで工夫して遊びを考えるようにします。そのほうが子どもの想像力が育ち、自分で遊びを考える楽しさを学べるようになるでしょう。
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いざという時の対応をできるようにしておく
多少のケガは気にしないといっても、万が一の際には、町の中にいる時のようにすぐに病院に連れていくわけにはいきません。
そのため、常に応急処置ができる用意をしておくと同時に、慌てず迅速な処置ができるよう、訓練をしておくようにします。
安全に十分配慮して楽しい山遊びを
山遊びは室内や園庭では経験できない、さまざまな楽しさを体験できます。そのため、住んでいる地域にもよりますが、保育の現場にも積極的に山遊びを取り入れることをおすすめします。
子どもは最初のうちは怖がっていてもすぐに順応し、楽しく山遊びをするようになります。大人としては、できるだけ手や口を出さず、一緒に考え一緒に楽しむ気持ちを忘れないようにしましょう。そして安全には十分配慮し、楽しい山遊びを行いましょう。