「子ども・子育て支援新制度」の目玉制度として打ち出されたのが「認定子ども園」です。認定こども園は従来の幼稚園・保育園とは異なり、内閣府が管轄する制度です。待機児童の解消や、保護者の就労の有無にかかわらず子どもを預けられる、園に通えない家庭の子育てもサポートするなど幅広い子育て支援を目指しており、実質的には「保育園と幼稚園の両方の機能を併せ持った施設」として機能します。
認定子ども園と一口に言ってもその内容は大きく分けて4つに分類されます。
認定こども園の一番のメリットは、なんと言っても従来の保育園・幼稚園それぞれの「いいとこ取り」を目指していることでしょう。現代の子育て世代にとって保育園・幼稚園それぞれが「帯に短し襷に長し」だった点を解消し、「働きながらでも安心して子育てができる」ことを目指す様々な制度・運営上の取り組みが進められています。
例えば、働く子育て世代にとって一番の心配・困りごとである「保育時間」も「いいとこ取り」の一つです。認定こども園は、幼稚園の機能も併せ持っていますが保育時間は保育園の認定基準に従っています。また、幼稚園には夏・冬・春それぞれの長期休みがありますが、認定子ども園にはありません。
このように「夫婦共働きで子育てをすること」が子育て世代の一般的なライフスタイルであることを前提として作られた制度なので、今後も認定こども園設立の流れは加速していくものと思われます。しかし、従来の保育園・幼稚園を「制度的にミックスする」ことで短期間での実現を果たした制度だけに、解決しなくてはならない課題が多いのもまた現実です。
例えば、幼稚園・保育園の両方の機能があるがゆえ、幼稚園教諭と保育士の間での勤務条件、意識面での統一、シフトの組み方などで折り合いがつかないなど、具体的な現場運営上の問題がありますし、長期間の安定経営を揺るがす様々な制度的障壁や問題も指摘されています。
社会のニーズが多様化していく中、幼稚園・保育園の良いところを合わせて、幅広いニーズに対応できる認定子ども園は、今後もさらに需要が増えていくでしょう。だからこそ、制度をスタートして明らかになってきた現実的な問題を、今後もひとつひとつ解決し、施設運営がより充実していくような取り組みを期待したいものです。