学校法人カリタス学園は、キリスト教の精神を大切にし、カトリック教育の理念に基づく幼稚園・小学校・中学校・高等学校による総合学園です。このプロジェクトは、これまで行われていなかった幼小の自校式給食をスタートさせるものです。これにより、子どもたちの健やかな成長や食育の充実、保護者の負担軽減を図ります。具体的なハード面の整備では、給食室、ランチルームを持つ新棟の建設、既存校舎の改修。ソフト面では、給食のコンセプトの策定、給食実施に向けたメニューの考え方、テーブル・イスをはじめ、食器等の什器の選定、給食運営業者選定など、様々な課題を建築設計の枠を超えて私たちも協働し実現しました。そうして、子どもたちの学びの質向上を図る大規模な取り組みが完成しました。
プロジェクトの取り組み
1. 給食事業の導入と新棟建設
新棟の設計
新棟1階には十分な機材をそろえた給食調理室を設置し、アレルギー対応設備や衛生的な動線計画を整えました。また、3階には120名が利用できる明るく開放的なランチルームを設けました。
ランチルームの特徴
北向きの大きな窓から自然光を取り入れ、木材を活用した温かみのあるデザインを採用。ステンドグラスや校章の陶板が空間を彩り、キリスト教の精神を感じられるものとしています。
食育活動
6年生が考案した献立の提供、絵本に登場するメニューを再現する特別献立など、楽しく学べる活動を行っています。
2. 既存校舎の改善と教育環境の整備
専科教室の工夫
図工室を「図画」と「造形」の2室に分け、理科室を実験用と多目的室に分離。家庭科室は新棟に移転し、より実践的な授業が可能な環境に整えました。
共用スペースの活用
廊下にはベンチや展示スペースを設け、異学年の子どもたちが交流できる「出会いの場」として活用。丸いデザインの家具で安心感のある空間を演出しました。
ほっとるーむと保健室の充実
子どもたちに大人気のほっとるーむ(カウンセリング室)は広さを倍に増やし、木の温もりを感じられる居心地の良い場所に。保健室には感染症対策が施され、子どもたちが安心して利用できる環境を整えました。
3. ステンドグラスデザインの採用
ランチルームのステンドグラス
Sr.北爪悦子氏がデザインしたステンドグラスは、宇宙、自然、命の営みを描き、神様の愛と創造の素晴らしさを伝えています。感謝と賛美の祈りを捧げながら、互いを大切にし、夢に向かって進む希望の象徴となっています。
ラウンジのステンドグラス
「CARITAS(愛)」を象徴するデザインが、子どもたちに祈りと希望を届ける空間を作り出しています。神様の愛を中心に、私たち一人ひとりが奏でるシンフォニーが、素晴らしい未来へとつながる希望を象徴しています。
工事期間中の取り組み
工事中も子どもたちにとって貴重な学びの機会となる活動を実施しました。
- 設計者や工事関係者による講演会で建築の魅力を伝えました。
- 子どもたちが作ったタイルが新校舎に取り入れられ、学校づくりに参加する喜びを感じてもらいました。
プロジェクトの成果と未来
このプロジェクトを通じて、給食事業がスタートし、子どもたちは安心して学べる新しい環境を手にしました。保護者からも「朝の時間に余裕ができた」と好評です。幼稚園への給食導入も計画されており、さらなる充実が期待されています。これからも子どもたちがのびのびと学び成長できる環境を提供していきます。