設置基準の規制緩和によって、参入のハードルが下がった保育園経営ですが、どのようなメリットや注意点が存在するのかを知らない方が多いと思います。そこで今回は、保育園経営に関わるメリット、注意点、相談できる場所について紹介していきたいと思います。
保育園経営のメリットとは?
保育園経営には、以下の4つのメリットがあります。
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初期投資が少ない
まず、初期投資が少ないことです。保育園を開業したり、経営したりする場合、保育士の資格や実務経験は必要とされませんので、それらに関わる費用や時間がかかりません。また、保育園を運営していくための土地や建物があれば、他に必要となるものがなく、大規模な設備投資も必要ありません。そのため、さまざまな事業と比較して、保育園経営は少ない初期投資額で始めることができるのです。
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安定した経営が見込める
次に挙げられるのが、安定した経営が見込めることです。一度園児が入園すると、卒園まで在籍することがほとんどです。そのため、収益のバラつきが少ないのが特徴です。また、小売業のように在庫を抱えるリスクもないので、高い利益率を見込めます。それゆえに、初期投資額を回収するハードルも低くなります。
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補助金制度を利用できる
補助金制度を利用することができるのも、保育園経営のメリットの一つです。保育園が在籍する自治体や、保育園の種類にもよりますが、自治体から園児一人当たり毎月2~3万円の補助金が支給され、保育料と合わせて運営に充てられます。
毎月の保育料を5万円とした保育園で、園児40人を抱えていて、一人当たり3万円の補助金が支給されるケースを考えた場合、保育料が年間2400万円、補助金が年間1440万円となります。そのため、よほどのことがない限り、経営難に陥ることはないといえるでしょう。
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社会貢献ができる
保育園経営は、社会貢献ができるのもメリットと言えるでしょう。待機児童や保育士の労働環境などの問題が叫ばれている昨今、保育園を経営することで、小さな子どもを持つ親や保育士として働きたい人などに大きく貢献することができます。
このように社会的意義が大きいということは、経営以上のやりがいにつながるかもしれません。
保育園経営の注意点
一方で、保育園経営には以下、3つの注意点が存在します。
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経営が軌道にのるまでは時間がかかる
保育園の経営が軌道に乗るまでには、ある程度時間がかかります。保育園の経営を安定させるためには、十分な園児数の確保が不可欠となります。
ところが、新設の保育園では、園児が集まりにくいというのが一つの特徴となっています。特に、最近は保育園の評判について、インターネットで検索する親が増えているため、その傾向に拍車がかかっているといえます。
園児を集めるためには、時間をかけながら実績を積み重ねていく必要があるので、長い目で見た経営方針を立てておかなければなりません。
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行政処分の対象となる可能性がある
次に、保育園経営は常に行政処分の対象となる可能性があります。保育園内で何かしらの事故が発生したり、感染症などの病気が発生したりすると、保育園経営者は管理上の責任を問われることになります。場合によっては、行政処分の対象となる可能性があるほか、保育園の評判が悪化して新たに園児を集めにくくなることも考えられます。
保育園の経営は、非常に責任が重い仕事だということを理解しておく必要があるでしょう。
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保育園経営の許可が下りない
また、保育園経営がしたくても、許可が下りない可能性もあります。在籍する自治体によって条件に差があるものの、安全の確保や園児の数に合わせた土地や建物の広さが求められることになります。
保育園経営を始めるためには、これらの条件をクリアし、自治体など関連団体や企業の審査に通過する必要があるので、やりたいと手を挙げても、必ずできると保証されるものではありません。
保育園を建てたい人が相談できる場所とは?
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自治体
保育園を建てたい場所を管轄する自治体に相談してみるといいでしょう。自治体によっては、保育園の建設に関する募集を行っている地域もあります。ホームページをチェックして窓口で相談してみましょう。
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設計事務所
設計事務所に相談してみるのも一つの方法です。特に、保育園の設計・施工に対して実績がある設計事務所なら、園児が過ごしやすく、保育士が仕事をしやすい施設、そして保育園に対する考えやノウハウが蓄積されているので、強い味方となってくれます。また、保育園経営に関するコンサルティングを行ってくれる場合もありますので、相談してみることをおすすめします。
保育園経営には今回紹介したメリットや注意点があります。保育園経営を始める前に正しく理解しておきましょう。