「清潔感ある、さわやかな保育園」との要望を大切に、グリーンを配色した保育園を作りました。やわらかなパインの無垢材の床、腰壁にはクッションを設け、かわいらしいペンダント照明もポリカーボネート性のものを採用し、子どもたちの安全性にも十分考慮して設計しました。
保育室は「まとまった広さの確保」に重点が置かれがちだが、同時に一人から少人数の小さな集団で遊ぶことも多く、小さくかつ多様なコーナーを設置しやすいしつらえとしています。年齢や発達段階に応じて遊び内容も変化するため、それぞれに適したあそび場所を用意します。そのためのきっかけとして、水回り、おもちゃ棚、絵本棚、たたみなどのしつらえを慎重に配置します。
家具も環境を構成する上で重要な役割を担います。
木材で構成した落ち着いた素材感と色彩は、保育室の環境創りの一旦を担っています。
各保育室には保育に必要な作り付け家具や収納家具を計画します。実際に子どもが触れるものなので、プラスチックやスチール製のものではなく、できるだけ木製で制作しています。既製品の利用も考えられるのですが、保育園ごとまたは年齢ごとに異なる様々な什器備品を活用する保育園においては、寸法なども含めた詳細な打ち合わせ検討が必要なため、造り付けを始め、建築空間と同時にデザインするのが現実的です。
また、個別に目的に応じ細かく計画・設計するとともに、どのようにも使えるフレキシビリティーの確保という、相反する面もあり、そのバランス感覚が問われる部分です。この園ではロッカーなどは、一部可動ユニットとして作っておくことで、拠点づくり、コーナーづくりを誘導するよう心掛けました。